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Toggleこんにちは。刑部です。
本日は渡島で今現在“ダムネーション”がおこなわれている瀬棚町を流れる独立河川の須築川(スッキ)・良瑠石川(ラルイシ)にいってきました。
今回は釣りではなく、砂防・治山ダムの“スリット化”における環境変化の視察にいってきましたので記事にします。
そもそもダムネーションとは..
破壊すべきダムがあるかぎり “ダムバスター”は挑戦し続ける
アメリカ全土につくられた7万5千基のダム。それらの多くは、川を変貌させ、魚を絶滅させ、それにもかかわらず期待される発電・灌漑・洪水防止のいずれにおいても低い価値しか提供していない。
むしろダムの維持には高い経済的コストもかかっている。そんな負の面ばかりのダムを「撤去」する選択が、アメリカでは現実になってきた。
だが「ダム撤去」が当たり前に語られるようになるまでには、「クレイジー」と言われながも川の自由を求め続けてきた人びとの挑戦があった。彼らのエネルギーにより「爆破」が起こるドキュメンタリー。
自然の良さは人間が何もしなくてもいいこと。 ただそのままにしておけばいい。 地球の血管にも例えられる川。ダムが及ぼす影響は、私たち生き物すべてに及ぶ。
ダムが撤去されたとき時、川は解放され、みずから元の姿に回復していく。
本作品が映し出す川の生命力と美しさは、人間も自然の一部なのだということを改めて気づかせてくれる。そして、技術により自然を征服してきた過去と決別し、新しい未来をつくりだす希望の光を見せてくれる。
製作責任者はパタゴニア創業者のイヴォン・シュイナード。
共同プロデューサーは生態学者で水中写真家のマット・シュテッカー。
提供:パタゴニア
制作:シュテッカー・エコロジカル&フェルト・ソウルメディア
製作責任者:イヴォン・シュイナード
プロデューサー:マット・シュテッカー&トラヴィス・ラメル
監督:ベン・ナイト&トラヴィス・ラメル
編集:ベン・ナイト アソシエイトプロデューサー:ベーダ・カルフーン
企画:マット・シュテッカー&イヴォン・シュイナード
配給:ユナイテッドピープル 87分/アメリカ/英語/ 2014年
オフィシャルサイト:http://damnationfilm.net
Facebookページ:https://www.facebook.com/damnation.jp
Twitter :https://twitter.com/Damnation_JP (@Damnation_JP )
ユナイテッドピープルyoutubeチャンネルから引用
まず、上記のyoutubeチャンネルをご覧いただければと思います。
現在、道南“せたな町”では、漁業組合を中心にサクラマスの資源回復を目指し、2017年よりダムのスリット化に取り組んでいます。
ダムネーションと言う映画を観て思うことは賛否両論あるとは思うが、多くの人々が常識に囚われない姿勢を評価しており。はたまた、否定な見方をする人たちも多く存在するのは事実。
僕自身は、不要なダム開発には断固として反対の立場だ。
今回は、
須築川におけるダムスリット工事が2019年3月におこなわれ、通算2回目の工事が終わり、現在の須築川の現状を『流域の自然を考えるネットワーク』スタッフの稗田(ヒエダ)さんと僕の元職場の『パタゴニア札幌北ストア』のスタッフと視察してきたので、写真や実例を交えて紹介します。
須築川
2019年11月4日の須築川
通年保護河川の須築川。
この川の砂防ダムの高さは10m
今年の3月に2回目のスリット工事を終え、残りは2020年の2月に完全にスリット化が完了します。
流域の自然を考えるネットワークHPより引用
昨年も縁があり一緒に視察に伺いましたが、今回の視察では、大幅にスリット化が進み、今の状態でもサクラマスが上流に遡行可能な深さのプールも完成されていました。
2018年8月の同ダム。昨年より1mの落差がなくなっていた。
河川の氾濫を抑えるための砂防ダムの寿命は短い。
数年で堰き止めていた土砂を積滞させ、階段式の魚道の出口も川底に埋れ、結果上流から下流に流れ出すはずの土砂・砂利が堰き止められ、ダムより下流の砂利だけが流れ出し河川を“骨化”させていく。
たちまち、魚たちの行き場を“ダムの要塞”に阻まれ、産卵適所の奪い合いが生まれ、年々産卵礁も減り、もともとあったはずの自然が完全にその姿を消していく。
未来人が失われた自然を『当たり前』の自然に置き換えるのは簡単だが、本当にそれでよいのか?と今を生きる自分自身がずっと疑問に思ってたことがすぐ近くでおこっていた。
そして、ダムネーションの実施に動いた、『せたな町漁協』には賛同するし、とても価値ある活動であることだと思った。
砂防ダムより上流部
画面左側。積滞物の推移がわかりやすい。高さは5mくらいあった。
左側の地滑りは積滞物が川の流れを変え蛇行することで山を削っている。
ダムより下流の流れと、アイドル犬の“小作”
上流部とはうってかわって大小多様性のある石、砂利が転がる。
落ち葉も栄養となり川虫の餌となり、海に流れて分解され豊かな藻場を作る栄養となる。
今後も須築川の今後を見守りたい。
良瑠石川
せたな町の新成と太櫓のちょうどあいだを流れる小規模独立河川。
僕も、早春のサクラマス釣行でもこの川の河口で竿をだす。
実はこの川、2018年に4基の治山ダムのスリット工事をしている。
以下流域の自然を考えるネットワークより引用
良瑠石川の4基の治山ダムでもスリット化が実現し、管内のサケ定置網8ヶ統ある中、一番悪い漁場だった良瑠石川地区の2ヶ統が、2015年から昨年に至るまでの4年間、管内で漁獲量が1~2位になった」と報告があった。
せたな漁協からこういった報告があると素直に嬉しいし、これから自分たちもこういった活動をさらに拡大成長させていきたい気持ちでいっぱいだ。
まさに要塞と言う名がふさわしい“螺旋式魚道”
何故こうなったのか?
さらに流域の自然を考えるネットワークHPより引用
以下は地元の人たちが、ダムスリット化の実現まで立ち向かったの苦悩の経緯である。
(事業主体者:北海道林務課):機能していない螺旋式魚道の改善をするために地元漁業者に「魚道の改築」を提案。
(地元漁業者及び地元釣り団体):魚道の改築よりも川を元に戻して欲しいと要望し、治山ダムのスリット化を求めた。
(事業主体者:北海道林務課):ダムのスリット化に難色を示す。理由は、ダムをスリットすると、流木・土砂が流れ出し、①下流にある生活道路の橋脚が被災する。②橋が被災すれば、集落の生命線が断たれて孤立する。③沿岸に泥が流れ出し、漁業被害が発生する。以上のようなデメリットばかりを強調した。
(事業主体者と地元漁業者及び団体):三者で現地を精査した結果、①下流にある道道に架かる橋脚の間口は広い為、流木・土砂の被災は考えられない。②治山ダムの下流には民家がない。③漁業者らが流木や土砂が沿岸に流れ出し、漁業に影響があっても5年や10年は我慢する。補償も求めない。として再度、強くスリット化を要望した。
林務課はスリット化すれば治山ダムの堆砂が一気に流れ出して、土石流災害の危険があると説明していたが、漁民らは治山ダムの堆砂の処理について、左右に振り分けるように流路を開けば、全量が流れ出すことは無いと提案した。そして、ついに、治山ダムのスリット化が実現したのである。
2011年2月、本流1基の治山ダムは大きな逆台形にスリット化された。次いで、翌年には上流側の1基もスリット。その後、支流2基の治山ダムもスリット化された。いずれも逆台形型の間口を広く取ったスリット化である。
このように、既得権益であるゼネコン会社に牛耳られた道の対応がわかる。
なんとしてもダム工事が必要で、さらにダムを維持するための再開発をどんどん作る口実だろう。
僕の生まれ故郷の当別町にも青山ダム、当別ダム、さらには当別川を形成する大小様々な支流に治山・砂防ダムが数百とあるのが現状だ。
おかげで下流の当別川はヘドロにまみれ、昔は簡単に見つけることができたスナヤツメやヤマベは姿を消した。
今後は良瑠石川のような成功例を多く作っていき、まずは渡島檜山、そして、後志の漁業者も巻き込み豊かな北海道を復活させるダムネーションを巻き起こしたい!