「子供たちは、どんな給食を食べているの?そしてそれでいいの?」
それを投げかけるのが、管理栄養士の佐々木十美氏。長年小学校で給食を作り続けた経験と実績から、時代とともに変わりゆく給食に疑問を抱くようになりました。
イングランドのシェフ、Jamie Oliver(ジェイミー・オリヴァー)が同じように、ジャンクフードで知られる英国の子供たちの給食改善に取り組み、大英帝国勲章を授かったほど、世界各国で警鐘を鳴らすべき問題です。
氏曰く、全国一律でそうではないでしょうが、中学校の給食時間に至っては15分しかないのが現状。自分の頃はあまり覚えてませんが、40分はあったと思います。
味わわずにかっこむだけで、食べていると言えるのか?
=それが栄養や体力になるわけはないよね?
=体ができてないのに頭が働くわけないよね?逆でもあるよね?
=じゃあ学力も上がらないよね
っていう淀んだ流れ。
たくさんの物に囲まれ、お腹がすけばいつでも食べられる、欲しいときなんでも買える、ウーバーイーツとやらでむしろ持って来てもらえるから、自分は何もしない。
ゆえに体力も乏しく泥汚れも嫌うように親も(周りや先生に)躾けられていて、野菜が育てられたものだと感謝することさえできないのが「飽食」へとつながる。また買えばいいから飲みかけの缶をそこらになげる(捨てる)。
ジェイミーは国家予算を揺るがし勲章までもらったのに、日本はそれでも重要な問題じゃないと思っているらしい。
小学生の頃、月1でお楽しみ給食があって近隣小学校3校にアンケートを取った給食がありましたけど
- あげぱん (小麦デンプン糖質・炭水化物・脂質)
- クリームシチュー (脂質・乳成分・小麦デンプン・動物性たんぱく質)
- フルーツポンチ (糖質・水分・炭水化物)
- ポテトサラダ (芋でんぷん糖質・脂質・タンパク質)
- くじらの唐揚げ (動物性たんぱく質・油分)
このラインナップはいろんな意味でやばいっしょ。それこそジェイミー改善前の給食と大差ありませんけど??
佐々木さんが見えてからは料理番組状態。素晴らしい手さばきで、その場にある材料を次々と処理していき、ものの1時間足らずで何品も同時に作る。訊けば丁寧に教えてくださるので、とてもいい機会です。
ニンジンドレッシングは佐々木さんお得意。
理想は
「今あるもので作る、旬のものを使った料理」。
例えば佐々木さんは
「献立はあくまで予定」
とします。そういえば『献立予定表』を毎月もらってた小中学生時代。
食材を向こう1週間分、確保できるとは限らないからです。旬の野菜とはいえ、天気が荒れれば収穫ができないので、料理もできない。お米など確保できる保証があるものはともかく、とうきびは特に不安定。とれたての野菜も無駄なく、熟れ方にもこだわる佐々木さんはその季節にしか味わえない新鮮さをストイックに求めます。
ちなみに、(だった)とは
唐揚げ(だけ)は子供たちに食べ尽くされたのである。
自分が食べてきた給食を脳の奥から引っ張り出すと、さもしくて大したことないものだった上、旬のものなんて味わうことももちろんありませんでした。年中同じものが出てきたし、それこそ佐々木さんのもっとも恐れる
『給食がコンビニ化してはならない。ただ空腹を満たすためだけのものではいけない』
を実現しているような底辺小中学校でした。ジェイミー改善前を出してくるくらいですから。
父の学童期時代(昭和中期)から教科と給食を時間割に記し、業間休みだけを時間割から外すことはしていました。
給食は最も大事な教科書である
と、佐々木さんは教えてくださいました。また、吉澤俊輔さんにも、素晴らしい機会を与えていただいてありがとうございました。
Jamie’s school dinners(2007)