北海道と軽井沢は似ているという戯言の続き。
此度は、そのきっかけとなりました樹木を見ていきましょう。
寒冷地の針葉樹
クリスマスツリーのモミの木、アラスカやフィンランドの凍り付いた湖畔に緑色の針葉樹、エゾマツ、寒冷地には冬でも青い針葉樹がイメージされます。さすがにエゾマツはなかったもの、カラマツがあったのは驚き。
松の葉の面白話。松の葉がどうなってるかご存知ですか。
実は松の葉は、合わせると1本の串のような葉になるように分かれているんです!それは全てのマツで同じ。そしてそれで1枚と数えるんです!
松の葉を葉柄から取って、合わさってぴったり。これはスッキリします。
ミズナラ
寒冷地に多く自生するドングリの木で、私が活動していた全ての森で1本しか知りません。ミズナラかと思えばカシワだったり。このミズナラがあることが、マニアックかつコアな驚き。
ドングリは木によって賞味が違う、というのは知って驚いた話。
マテバシイ…砕いてクッキーが1番おいしい
コナラ…フライパンで炒る
スダジイ…生でいける
ミズナラ…すりつぶして混ぜ込むと香りが立つ
クヌギ…生でいくのはやめたほうがいい
すべての木を知っていれば、ドングリが小さい順に賞味がいい、というのがわかるはず。これもおもしろいですね。
シラカバ
地元駅前にこれでもかと植わっているシラカバは、長野の方言では「シラカンバ」と呼ばれています。軽井沢と言えば、白糸の滝へ行くシラカバの三笠通りを自転車で…パンフレットの写真になるほど。
ここが面白い話で、「シラカンバ」は方言なのに「タケカンバ」は通り名。
カンバしくない?
オオイタヤカエデ
本州の平地で通常見るカエデの仲間は、圧倒的にイロハモミジか園芸種。青紅葉と呼ばれる青葉の頃も風情があり、秋と言えば、という風物詩ですよね。軽井沢で驚いたのが、駅前にこれがあったこと。島牧ではむしろイロハモミジのほうがないくらい。標高の高さを感じました。
モミジとカエデの違いは簡単。カエデは固有名詞、モミジは紅葉する葉っぱの総称です。唱歌『もみじ』に登場することでおなじみで
秋の夕日に 照る山 もみじ
濃いも薄いも 数ある中に
マツを彩る カエデや ツタは
山の麓の 裾模様
モミジとカエデが別物として登場してるんですね。
ブナノキ
軽井沢に自生してはいませんが、植えると育つ山の木、ブナ。神社の脇にしれっと生えてたりします。
「木」に「無」と書いて橅。木に非ず、として、木材として全く注目されていなかったのは昔の話。さらに日本海側のイヌブナは「役に立たないもの」の意味で付けられていた「イヌ」が付くことで、木に非ずに非ず。云わば
「木じゃないことはないこともないとは言わない」
くらいのややこしさ。
くまさんが大好きなこの木は、くまさんだけでなく多くの動物の秋の食べ物を与え、また大水飲みで、多くの水を蓄えて成長します。そしてしっかり根を張るので、土砂崩れが起こることもなく蓄えられた水は川となり海へ。さらに多くの水で外気温と同じ温度を保つ木なので、ブナの周りだけ雪が融けていたり、手のひらで触れると温かみを感じたりする、生命を司るような木なんです。
ブナの木、大好きです。
ナナカマド
7回釜戸に入れても燃えない・もしくは炭にならないくらい丈夫、が名前の由来のナナカマド。なんつって、実際はよく燃えます。群馬との県境にどーんと立つナナカマドの古木が何より印象的で、寒いところなんだ、と実感しました。
山の木なので、似たものがたくさんあり
- ヌルデ
- シンジュ
- ニセアカシア
- ウルシ
- ハゼノキ
恐ろしい事に、半分以上ウルシ科。ただし、秋に真っ先に赤くなるのがウルシ科の特徴なので、それさえ覚えておけば大丈夫だし、似た木の大半はナナカマドかニセアカシアです。
これらの樹木は共通して自生・もしくは植栽されているもので、そこで成長し花を咲かせて実をつける、順調な生育をするものです。
まもなく旅もおわり。軽井沢と北海道を同時にお楽しみいただけましたか?